腕を挙げられない、肩が痛い、その原因は五十肩!?
洗濯物を取ろうと不意に腕を挙げると、肩が痛い!
後にある物を取ろうと手を伸ばすと痛い!
急に腕が挙がらなくなった!
その症状は、所謂『五十肩』の症状かもしれません。
今回はリハビリで遭遇する疾患『五十肩』についてお伝え出来ればと思っております。
整形外科領域で働いているセラピストであれば、一度は診る機会があると思います。
『五十肩』
しかし、そんな病名は無く正式名称は、肩関節周囲炎です。
なぜ五十肩と呼ばれているのか、それは50歳の方が良くなるからです。
男女別でみると圧倒的に女性の方が罹患率が高いと言われています。
それは男性と女性で肩周りの筋肉量に違いがあるため、関節にかかる負荷も女性の方が強いのではないかと言われています。
それでは、今回は肩関節疾患でリハビリで良く遭遇する肩関節周囲炎について、少し概要とリハビリについて記載していきたいと思います。
五十肩とは?
狭義の肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)は外傷などの原因がなく肩関節通で発症し、同時あるいはひきつづいて肩関節可動域制限を生じますが、多くは疼痛、可動域制限ともに可逆的にほとんど元の状態で癒着するものと定義されています。
どのような症状?
際以降の人に特に誘因なく運動日う、安静時痛(夜間痛)を生じます。
同時あるいはやや時期を遅らせて肩関節可動域制限を生じますが、徐々に疼痛は改善します。
可動域制限が強く生ずる時期には安静時痛はほとんど改善します。
可動域制限は内旋、外旋で著しく、結滞動作、結髪動作の障害を生ずることが多いです。
治療法は?
初期の疼痛を主体にする時期では、消炎鎮痛剤あるいは外用薬を用いた薬物療法、あるいはストテロイドの関節内、肩峰下滑液包内注射を行い、一時的な局所の安静を取る場合もありますが、疼痛が軽減してきた段階でのリハビリが効果的です。
リハビリの方法
リハビリでは疼痛の強さや出現状況、拘縮の状況により、①疼痛痙縮期 ②拘縮期 ③寛解期に分けて実施していきます。
①急性期(炎症期)
疼痛が強い時期、安静時痛が残っている時期には安静・ポジショニング指導や肩関節周囲の筋肉に対するリラクゼーションを実施します。
積極的な可動域練習は避け、疼痛軽減に努めます。
②慢性期(拘縮期)
疼痛が軽減してきた時期から可動域改善のためのアプローチを実施します。
疼痛が軽減してくる時期では同時に、肩関節にある肩峰下滑液包の癒着によりグライディングメカニズムの破綻や筋肉の異常筋緊張の亢進や短縮により自動運動・他動運動共に動貸しにくくなってしまいます。
そのため、疼痛が出現しない程度の肩関節他動運動と肩甲骨周囲にある筋肉のリラクゼーションやストレッチを実施します。
③回復期
回復期では痛みがほぼ消失し、肩関節の動きの硬さや動かしにくさのみになってきています。疼痛痙縮期や拘縮期が長くなってしまう場合、不動による筋委縮や筋力低下を認めてしまう場合があるため、この時期は生活内でもしっかりと肩を使うことを意識したり、セルフエクササイズで筋力トレー二ングを行っていきます。
<可動域改善のためのアプローチ>
・肩関節周囲炎で起きる可動域制限の問題点は、関節包後下方組織の拘縮、関節内圧の調節不良、外旋筋のスパズムなどが挙げられます。
肩関節の後下方組織には侵害受容器が豊富で痛み刺激に対して過敏であるため、炎症症状を引き起こし易くなっているため、関節包の後下方組織を柔軟にするためのストレッチや血流改善のたの筋収縮練習を実施する必要があります。
また後下方組織周辺にある外旋筋の異常筋緊張亢進やワイドブレヒト孔狭窄による関節内圧調整不良改善のための回旋筋ストレッチや収縮練習を実施します。
最後に
肩が痛い時、動きが悪い時、都市伝説的にグルグルと腕を回したり、無理なストレッチをしてしまう時はありませんか?
「頑張って動かしていれば、そのうち治る!」と考えるのはやめましょう。
五十肩にはどの時期に何をしなければならないのか、どのようなことをしてはいけないのかがある程度はっきりとしています。その時期その時期で適切な方法で治療やリハビリを行えば必ず改善しますので、無理な運動は控えておきましょう!