リハビリ【Qセラシリーズ1-②】「Wand Phenomenon!」感覚脱失の症例には●リー・ポッターが大活躍!?
「ハリー・●ッター」と「東京パラリンピック」の意外な共通点を知ることで感覚障害への評価・介入が変わります!!
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』とは?
おはようございます!
PTみふぁら♪です。
前回の『Qセラ』では、
「感覚と知覚の違い」
について整理しました。
その知識を臨床応用しながら、
今回は、
『感覚脱失の脳卒中症例への
評価・介入の工夫は
何かありませんか?』
という質問への返答に
繋げていきますね。
※前回の記事はこちら ↓
突然ですが、
目を閉じて
棒のような物(ペンや箸など)の先で、
机とスポンジなど
異なる硬さの物を
つついてみてください!!
もちろん、
硬さの違いから
どちらをつついているか?
当てることができます・・・よね?
まあ当たり前ですよね(>_<)
でも、
よく考えてみて下さい・・・
棒の先には、
自分自身の感覚受容器
(ルフィニ小体やメルケル盤など)は
存在しないにもかかわらず、
棒の先のさらに先にある
物体の性質が分かるんですよ!!
不思議じゃないですか!?
手で触って
硬さを当てることが
できるというのは、
手には、
「ルフィニさん」や
「メルケルさん」
がいるので
納得ができますが・・・
手ではなく
棒の先にその対象物を
感じ取れる。
これが、
J.J.Gibsonが提唱した
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』で、
物に備わっている性質を表す
『アフォーダンス』と関連がある
とも報告されています。
あ!!
USJに行きたくなってきましたね(^_^;)
イチロー選手が
自分の手のように
バットを扱いボールを打ち分ける!!
脚を切断した
パラリンピック選手が
義足(ルフィニさん・メルケルさん不在)で
床反力を感じながら
とても速く走ることができる!!
これらも同じように
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』
の考え方で
説明できそう
ですね。
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』の臨床的解釈とは?
では、
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』を
「上下肢の感覚が脱失した脳卒中」
や
「体幹下部・殿部の感覚が
脱失した脊髄損傷の症例」
に当てはめて
考えてみましょう!!
感覚が脱失した
上下肢や体幹下部・殿部には
感覚受容器
(ルフィニ小体やメルケル盤など)
自体は存在しています。
しかし、
脳の中で感じられていなかったり
脊髄での伝達が遮断されていたりする
という点では、
『上下肢や体幹下部・殿部=ペンや義足』で、
自分の身体ではない物体で
机や地面を捉えているのと同じ
ように考えることができます。
上下肢の感覚が脱失した
脳卒中の症例は、
骨盤周囲や体幹の感覚は
残存していたり、
体幹下部や殿部の感覚が
脱失した脊髄損傷の症例でも
体幹上部の感覚が残存
していたりしますよね。
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』のように、
末梢部の感覚が脱失していても
中枢部の残存した感覚から
末梢部の先の机や地面の硬さや傾きに
注意を向けることで、
「脳卒中症例の立位」
や
「脊髄損傷症例の
長座位の能力を高める」
ことができる
と考えます。
めざせ、イチロー!!気づきのためのセラピストの介入
この、
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』の
考え方を応用することで、
ペン先で机の硬さを感じることが
できるとは気づいていなかった
発症・受傷早期の症例に対して、
注意を向ける場所を
中枢部に変えていき、
症例に、
『あ!この感じ方だとバランスがとれる!!』
と気づかせていくように
セラピストが介入していく
ことができます。
ということは、
感覚脱失の脳卒中症例への
背臥位でのヒップアップや膝立ち、
長下肢装具による
立位や歩行においても、
股関節周囲への圧刺激などを
意識して工夫できそう
ですね。
【最後に】
脳卒中症例の感覚障害に
対する介入として、
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』
を紹介しました。
症例が気づいていなかった部分に
気づきを与えるということは、
「知覚を意識して介入する」
ということだと考えます。
本質問に対する最終回では、
この気づきの部分に
着目した考え方である
『側方抑制』
についてです。
次回もお楽しみにしておいてくださいね!
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【Qセラシリーズ】