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子どもを持つパパママリハビリ職は必見!「熱中症」の病態・症状・後遺症 

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おはようございます。毎週土曜日、リハビリ専門コラム(内部障害)担当の眞鍋です。

今週のテーマは「熱中症について」です。

臨床とは少し離れるかもしれませんが、間接的に役に立つ知識も多くありますので、是非ご覧ください。

 

熱中症は、

スポーツに携わっている方

はもちろんですし、

お子さんのいるセラピスト

にとっても

「心配なトピックス」

ですよね?

 

『災害クラス』と言われる、

これからの時代の

猛暑時代において

熱中症の理解」は

セラピストとして

だけではなく、

「一人の親としても

欠かせない」

と考えています。

 

そして、

割合は少ないですが、

いわゆる

「熱射病」

になると、

後遺症が残るケースが

少なからず存在

します。

 

そうなると、

リハビリテーションの対象

となることもあります。

(筆者も実際に担当したことがあります)

 

そんな、

熱中症の基本を

ここで押さえて」

おきましょう。

 

 

理学療法士作業療法士の基礎知識「熱中症とは?」

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定義は、

「暑熱環境における

身体適応の障害によって

起こる状態の総称」

です。


こちらは、

環境省が出しているデータ」

ですが、

熱中症での搬送件数は

ここ10年で明らかに

増えています。

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また、

熱中症は真夏の炎天下に

起こりやすい

というイメージ

がありますが、

「実はそうでもない」

のです。

 

意外に、

梅雨明けの一発目

いきなり

高温になった日

なんかに

激増したり

します。

 

これは、

暑さに身体が

慣れていないから

なんですよね。

 

慣れていないというのが

「身体適応が追いついていない」

つまり、

「身体適応の障害」

となるため

急に熱くなった日に

多く発症するんです。

 

逆に、

真夏は気温は高くても

連日の暑さで

身体が慣れてくるので、

身体適応ができるため

熱中症になりにくい

(いきなり暑くなった場合と比較して)

ということになります。

 

この適応のことを、

暑熱馴化(しょねつじゅんか)

といいます。

 

おそらく、

あなたも経験が

あると思います。

 

数日、猛暑日が続くと

暑さをあまり感じなく

なりませんか?

 

それなんです!

 

つまり、

日ごろから

暑さに慣れていない人は

要注意

ということ。

 

筆者もそうですが、

普段、病院の中で

仕事をしているので

暑さにあまり慣れていません

 

そんな中で、

退院前訪問などで

病院の外にでるだけでも

暑さに参ってしまう

ことがあります。

 

それは、もちろん

「患者さんも同じ」

です。

 

高齢者の場合は、

この慣れに加えて

体温調整機能の低下や

反応の遅れによって

熱を体外に出すことができず

熱中症が発症したりします。

 

だから、

「屋内での発症も

比較的多い」

のです。

 

よく病室でも

冷房を切って布団に

くるまってる高齢患者さん

いますよね?

 

あれって・・・

私たちの感覚からしたら「絶対暑いやん!」

って思うんですが、

ご本人たちは

「暑いと感じていない」

それで、

いつの間にか

「脱水状態になったり

体温が下げられなくて

倒れてしまう」

ことになるんですよね。

 


リハビリ職は知っておきたい「熱の移動原理」

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若い人は、

主には活動によって

生産される熱を

放出しきれない

ことによって

熱中症の症状が

出ることが多い

とされています。

 

運動をすると、

安静時の10倍くらい

熱の生産が上がる

とされています。

 

激しい運動を

20-30分続けるだけで

体温を4度上げるだけの

熱量が発生する

とされています。

 

そんなに、

高熱になっては

困るので、

そこで、

体温調整機能が

働きます。

 

身体は、

どうにかして熱を出そう

とします。

 

「熱放散」には、

 

① 対流(convection)

 

② 伝導(conduction)

 

③ 輻射(ふくしゃ)(radiation)

 

④ 蒸発(evaporation)

 

があります。

 

物理療法の授業で

聞いたことありますよね?

 

温熱療法の授業で

おそらく習っている

と思います。

 

これは別に

人間の特殊能力ではなく、

温度差がある時に

生じる物理的現象

です。

 

①~③は

末梢血管を拡張させて

熱の放出を行うもの

 

④は

発汗による

気化熱を利用して

熱を放出しようと

するもの。

 

①~③は

温度差によるものなので、

外気温が高くなればなるほど

起こりにくくなります。

 

末梢血管を拡張させて

熱を体外に放出しようとしても

体温より外気温が高いような

状態では熱が移動しません

 

④は

湿度が高くなると

そもそも機能しにくくなり

汗の蒸発が望めないほどの

多湿状態(湿度90-95%)では

ほとんど機能しない

とされています。

 

子どもは、

発汗機能が不十分なため、

熱の放出を血流増加に

依存している傾向

にあります。

 

ということは、

外気温が高くなれば

それだけ

この熱の放出作用は

低下するため、

大人より熱中症のリスクが高く

なります。

 

うちのチビたちも

真夏は少し外で遊ぶと

ゆでだこのように

なってしまうことが

あります。

 

遊びに夢中なので

自分では気づいて

いませんが

危険なので

涼しい場所で

休ませる必要

があります。

 

 

リハビリテーション中でも遭遇する?「熱中症の症状」

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症状や分類に関しては

ガイドライン参照

されると良いです。

 

厚労省が2015年に

熱中症ガイドライン

作成しており、

ネットで無料閲覧可能

ですので、

ぜひ一度目を通してみて下さい。

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こちらはガイドライン

載っているものです。

 

症状もこちらに

記載があります。


Ⅰ度の熱けいれんは、

熱中症のなかで

もっとも頻度が高いです。

発汗とNa 喪失のために

起こる筋肉の攣縮で、

下肢の筋肉に多く

「こむら返り」

と呼ばれます。

いわゆる、

「足をつる」

という状態であり、

「全身の痙攣」とは異なります。

 

熱失神」というのが、

いわゆる

「日射病」

にあたります。

温められた皮膚への

血流分布異常による

末梢循環不全から

引き起こされた

起立性低血圧状態

です。

立ち眩みやめまいを

伴いますが、

持続的な意識障害

ありません。

まだ発熱を呈することも

少ない状態です。

 

Ⅱ度を「熱疲労」といいます。

体温調節機能は

保たれるため

体温上昇は40℃未満

にとどまり、

昏睡や全身性けいれんなどの

中枢神経症状は認めない状態

ですが、

Ⅲ度の前段階なので

医療機関での治療が必要

となります。

 

Ⅲ度は「熱射病」です。

体温調節中枢の破綻により

深部体温は40℃ 以上、

腋窩温でも38℃ 以上となり

臓器障害を呈します。

・発汗の停止と紅潮

・乾燥した皮膚

意識障害

が特徴であり、

この状態までくると

臓器障害が現れるため

各種臓器の後遺症が残る

こともあり、

生命の危機的状態

です。

 


【最後に】理学療法士が考える「臨床上での熱中症対策」

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以上で熱中症のことが

わかったと思います。

 

大変危険な病態であり、

気合や根性論で

どうにかなること

ではありません。

 

最後に、

熱中症に対して

私が普段何を心がけているか?

というと、

入院中の患者さんが

退院近くなったら

「暑熱馴化」のために

外気に触れる機会を増やす

ということです。

 

もちろん、

熱中症になるほど

炎天下に長時間

とは言いません。

 

まずは、

日陰でも構わないので

少しずつでも

外気温に慣らして

おかないと、

退院後の熱中症

心配です。

 

在宅でも同様

だと思います。

 

一度、外に出なくなると

次、外に出る時が心配です。

 

いきなり、

長時間慣れない

高温環境に行くのは

危険なので、

少しずつ慣らしていく

工夫を行っていきましょう!

  

リハストリートでは、今後も専門的な学習コラムを配信して参ります。

次回も楽しみにしていて下さいね!

 

【著者プロフィール】

真鍋 周志

急性期病院勤務理学療法士

専門は内部障害理学療法

理学療法士が生涯学べる環境を作りたいと考えています。

ブログ:http://gigaantena.com/ptstudy/

FB:https://www.facebook.com/reha.internal/

 

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