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心が疲れている理学療法士・作業療法士こそ運動をするべき理由

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理学療法士作業療法士等の医療従事者でもメンタルヘルスは悪化しやすい

 

昨今の労働環境や社会環境の変化・コミュニケーションの希薄化によって、

人々のメンタルヘルスはますます悪化していると言われています。

 

忙しさに追われてくると、気分も落ち込みイライラしやすくなりますよね?

 

 

そこで今回は、

 

運動をすることで精神面にどんな効果があるのか?

 

を具体的に解説していきます。

 

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運動不足な理学療法士作業療法士は意外と多い?

 医療職種は、

 

特にストレスレベルが高い

 

とも言われている職業です。

 

理学療法士作業療法士の貴方も、

実際のリハビリ業務が終わった後にカルテの記載などの書類業務があり、

そこから院内外の勉強会などに参加したりすると、

勤務日で自己研鑽が出来る時間は夜遅くからになることでしょう。

 

患者様・ご家族への対応、他職種との連携も必要になるため、

 

コミュニケーションに苦手意識がある方は、それだけで強いストレスを感じる

 

ことになります。

 

 

そんな中、日常のストレスを低減する行動のひとつとして、

 

運動や身体活動によるストレス低減

 

が注目されてきています。

 

 

それは運動習慣のある者ほど、

抑うつのレベルが有意に低い

という報告があるためです。

 

 

しかしながら、

 

運動指導をする側のセラピストが実際は運動不足

 

ということがざらにあります。

 

 

「メタボなセラピストがリハビリを行っている」

 

・・・意外と多く見かけますよね。

 

 

リハビリセラピストのメンタルヘルスに対する運動の効果は?

基本的に言われている運動の効果としては、

 

メンタルヘルスの不調の予防

 

メンタルヘルスに不調をかかえる方の生活の質や自己肯定感の向上

 

うつ病発症の予防

 

うつ病に対する抗うつ効果

 

などが挙げられます。

 

 

また、

青年期における運動・スポーツは、身体的な発育発達のみならず精神的成長や社会的成長に寄与し、その結果ストレスへの適応性が高まる

という効果もあります。

 

 

運動は医療従事者のうつ病治療にも効果的

ある実験によると、トレッドミルによる運動をした群では、

 

うつ病の症状の発現率は8%にまで減少していた

 

という報告もあります。

 

運動は、

脳が不安を引き起こす行動をコントロールする手助け

になり、

 

不安障害を抱える人にとっても運動が効果的である可能性がある

 

とも言われています。

 

遷延性のうつ病患者に対し薬物療法に加え、運動療法の介入を実施したところ、

 

体力が増加し、HAM-Dスコアの減少

 

がみられていることも報告されています。

 

POMS(Profile of Mood State)においても、

 

抑うつ感、疲労感、緊張-不安スコアに改善

 

が見られています。

(「運動のメンタルヘルス効果の検討(その1) -遷延性うつ病に対するウォーキングなど有酸素運動の効果について-」小口江美子、渡邊衡一郎、石田浩之、菊池俊暁、鹿島晴雄/聖路加看護大学紀要)

 

 

さらに、主にうつ病を抱える患者にヨガ参加後における心身の変化についてアンケート調査を行ったところ、

患者はヨガ実習に継続参加することで・・・

 

「落ち着く」

「安らぐ」

「安定感がある」

「感謝の念が湧き出た」

 

などの心の変化や、

 

「体を動かすのは楽しい」

「気持ちよい」

「緊張がとれる」

「柔軟になった」

「肩こり・腰痛・冷えが消えた」

 

などの具体的な体の変化が認められました。

 

 

精神疾患を抱える患者にとって、

 

ヨガは心身の不調を整えQOL を高めるには有用である

 

ことが示唆されています。

(「運動のメンタルヘルス効果の検討(その2) -精神疾患患者の心身へのヨーガの影響について-」小口江美子、岡崎雅子/聖路加看護大学紀要)

 

 

運動をする理学療法士作業療法士の身体にはどんな変化があるのか?

脳が活性化される

運動により脳の血流がよくなるので、脳が活性化され、思考力や記憶力も高まります。

10分間の軽いゆったりした運動で脳の一定分野が刺激され、記憶機能が向上する可能性も指摘されています。

 

 

ストレス反応を抑えられる

運動をすることで、脳のストレスへの反応が弱まり、不安を感じにくくなると言われています。

マウス実験ではありますが、不安を制御する脳領域である腹側海馬にどのような変化が起こるかを調べたところ、

運動したマウスでは興奮すると活発化するニューロンの反応が抑えられていた

という報告があります。

また、脳内の興奮性の神経伝達をコントロールする「GABA」(ガンマアミノ酪酸)がより多く放出されることもわかってきました。

 

 

ホルモン分泌が高まる

セロトニン

通称「幸せホルモン」ともいわれ、心に安らぎをもたらすホルモンです。

 

〇テストステロン

男性ホルモンの一種であるテストステロンは通称「やる気ホルモン」とも呼ばれ、強気や自信を与えてくれます。

ちなみにテストステロン値が高いとメタボ対策にもなると言われています。

 

〇βエンドルフィン

鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、「脳内麻薬」とも言われるホルモンです。

モルヒネと同じような作用をします。

 

 

成功体験が得られる

運動を続けていくと、

 

「これだけできるようになった」

 

という、

 

満足感や達成感

 

が得られます。

 

それが自信につながって、気持ちが明るく前向きになることが期待できます。

 

運動の心理的効果を媒介する変数として考えられる要因として、

運動有能感(Perceived Competence)

があります。

 

運動場面における有能感とは、

運動を行うことの自信感や運動を行うことで自分が有能であると感じることができる

程度を表しています。

運動有能感が高いと、日常の行動においても、

自信を持ち積極的に行動することができる

ようになります。

 

生活リズムが整う

毎日の運動が習慣づいてルーティン化すれば、

起床時間が一定になったり、他の活動にもリズムが生まれてきます。

 

睡眠の質が上がる

セロトニンは、興奮やイライラを鎮めて精神を安定させる働きのほか、脳を覚醒させて活動を高めたり、

 

睡眠に入りやすくさせるメラトニンというホルモンを分泌させてくれるので、よりよい睡眠をとる

 

ことができ疲労回復効果も高まります。

 

 

 

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 理学療法士作業療法士が運動をするべき「まとめ」

 

リハビリセラピストが運動をすることは、

 

「健康的な体型の維持」

 

生活習慣病メタボリックシンドロームの予防」

 

「認知機能の低下防止」

 

など様々な有益な効果を得ることができます。

 

 

運動なんてする暇ない・・・

 

運動なんてする気が起きない・・・

 

と思ってしまい仕事以外での運動を敬遠しがちかもしれません。

 

 

ですが、むしろそんな時こそ、

 

運動の効果を見直し、日々の生活に取り入れてみる

 

ことで、リハビリテーションの現場・臨床で活かせることも多いのではないでしょうか?

 

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